クラミジアの症状と潜伏期間:女性はフェラで喉の感染も!

クラミジア感染症は、STD(性病・性感染症)の代表的なもので、かつてはサラサラした水っぽいおりもの、軽度の下腹部痛、不正出血、性交痛などの症状が比較的現れやすかったのですが、性病全体が無症候化している近年では、クラミジアに感染した女性の約80%は無症状とされています。

妊婦は母子感染に要注意

クラミジアの感染者の年齢層で顕著なのは、セックスに奔放でオーラルセックス(フェラチオ等)などの類似性行為も日常的に行っている10代~20代の女性の喉の感染が急増しているということです。自覚症状が現れにくいため、男性パートナーも感染させてしまったり、上記の症状が現れても特定の性病の感染を示すものではないため、婦人科での診察・治療が遅れてしまうのが、感染者数が増加している一因です。

クラミジアの原因となるのは、人にのみ生息するクラミジアトラコマチスと呼ばれる微生物で、感染すると約1~3週間の潜伏期間の後に発症します。クラミジアに感染した男性とセックスをすると、精液に含まれたクラミジアが膣と子宮の境目にある子宮頸管に感染します。

感染後は1~3週間の潜伏期間を経て、最初に子宮頸管炎を引き起こしますが、この段階で治療を行わないと、炎症がどんどん膣の奥へと拡大し、子宮内膜炎や卵管炎を引き起こしてしまいます。さらに進行すると腹膜炎を発症し、激しい下腹部痛を訴えて医療機関を受診してはじめて、クラミジアの感染がわかることもあります。

女性の感染で怖いのは、炎症が卵管に及んでしまうと、卵管が詰まったり、変形したりして不妊症につながるリスクがあるということです。またクラミジアの感染が、早産や流産、子宮外妊娠の原因になることも近年の研究でわかってきています。

さらにクラミジアは、妊娠の前だけでなく出産への悪影響も懸念されます。出産時に産道(頸管)で感染すると、新生児が重い肺炎や結膜炎を起こすことがあります。妊娠時にクラミジアの検査を行うのは、この母子感染を予防するためです。

クラミジアに感染すると、感染部位の皮膚粘膜が傷つくため、本来備わっているバリア機能が大きく損なわれます。そのため淋病などのほかの性病にかかるリスクも上昇します。なかでもクラミジアに感染していると、エイズの感染リスクが3~4倍ほど上昇するという報告もあります。

婦人科でのクラミジアの検査方法は、おりものを採取してクラミジアそのものを見つけ出す方法(抗原検出法)と、感染が進行していると考えられる場合に採血をする方法(抗体検出法)の2つの方法があります。近年は遺伝子診断法が開発され、高い精度でクラミジアを検出することが可能になりました。

治療はジスロマック(アジスロマイシン)に代表される抗生物質で行います。特定のパートナーがいる場合には、二人同時に治療を受ける(男性は泌尿器科もしくは性病科)のが鉄則です。感染予防の基本はコンドームを着用することです。フェラチオでの感染が増えているため、フェラチオの際にもコンドームを使用することがすすめられます。